あの頃の夕張を求めて

澄みきった空気、山並みに囲まれた豊かな自然の中で、炭鉱で開かれた先代の営みの上に、貧しくものびのびと成長した、そんなあの頃の夕張を探す画像ブログです。

夕張の隣町 - 大和小中学校

国道274号線、夕張の南東、登川の向こう側の穂別町(現むかわ町)の森の中に大和という炭鉱町があったことをご存知でしょうか。
現在は、うっそうとした森林地帯であり、熊の出没もみられる人気のない場所です。
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地名は穂別稲里道有林番外地といいます。
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大和地区は稲里の北部に位置していて、夕張登川にも穂別中心地にも、どちらにも遠い全くの山の中でした。
ここに、北炭平和鉱業所より租鉱権を受けた大和鉱業株式会社の稲里炭鉱(通称:大和炭鉱)が開発されたのが昭和32年でした。
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大和炭鉱

昭和43年1月25日に閉山するまで約10年間の採炭期間でした。
閉山時、鉱夫は166人、地区全体では約300人くらいの住人が生活されていたのでしょうか。
大和炭鉱の開発に始まり、閉山でほぼ無人になってしまった地区でした。
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現在の大和炭鉱跡地への道。
いまは、かつて開発が行われた地域とは思えない様子ですが、ところどころにコンクリートの塊があり、消えた炭鉱町の面影を残しています。
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開発当初は、大和炭鉱の関係者は登川に居を構え大和まで通勤していたそうです。
従業員の子弟は登川の学校に入り、大和に住んでいた約30余名も登川の小中学校に炭車に便乗して通いました。
約10キロ南に穂別町の稲里小中学校がありましたが、その道は悪路と泥濘で、とても子供が歩けるような状況ではなかったのでした。
昭和33年の秋頃から、大和に炭鉱事務所や社宅が建設され従業員の家族の招致も行われ人口が増えましたが、子供たちは引き続き登川の学校に通っていて、正月を迎える頃には約90名の児童が大和から登川小中の学校に通うようになっていました。
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大和地区全景
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大和地区に入る旧道

穂別町も大和地区に学校設置と教員の配置の陳情を受け、適当な施設を探していました。
そんな中、夕張市の教育委員会から穂別町に対し、児童の委託についての話し合いがあり、児童1人あたり2500円と登川小学校の増築費用150万円が請求され、これに応じない場合は児童の引き取り方について厳重な申し入れがされるという事態が起きました。
これにより、分校設立が決定され、穂別小学校の大沢勘太郎教諭が設立事務を任され3月23日に着任しました。
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初代校長 大沢勘太郎先生 (閉校まで勤めました)
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※分校開校当時に暫定校舎があった場所。現キャンプ場入り口付近。
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※分校が暫定開校した豊進部落会館(2階)と倉庫(1階)
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※同じく暫定校舎として買い上げた、苫小牧林務署の造林小屋。

昭和34年、豊進開拓団の会館と倉庫等を利用して4月1日開校を目指しましたが、融雪期の悪路で稲里からの資材の搬入が間に合わず、4月10日にようやく開校式をあげました。
大和からこの豊進の暫定校舎までは南に約3キロの道のりがあり、豊進-稲里の道よりなお悪い道で、徒歩でしか通行できない状態でした。
教室で使う机やイスは、登川から大和まで運搬されたものを、高学年の児童や父兄が背負って暫定校舎に運びこんだそうです。
そして同年9月20日、大和鉱業所エリアについに仮校舎が完成。
昭和35年4月に稲里分校から独立し、大和小中学校となりました。
昭和38年に校舎新築完成しました。
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大和小中学校

最盛期には小学校6学級、中学校3学級、教員13名、児童200名を超える規模となっていましたが、大和炭鉱の閉山により昭和43年3月31日に閉校となり9年という短い歴史の幕を閉じました。
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上の写真とほぼ同じ角度の現在の校庭
山の稜線が一致しています。

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すぐ付近には大和の名を冠した橋があります。

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大和小中学校があった二段になった高台。

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雪解け水で増水した川を渡らなければなりません。
壊れた橋げたが、昔は橋がかかっていたのを物語っています。

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川を渡ってすぐに小さな石碑があります。
町への上り口の木のそばです。
この坂道の奥には住宅が並んでいて、スーパーや神社もあったそうです。

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石碑の裏面。

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大和小中学校は1学級25名前後で編制され、先生たちは新進気鋭の粒ぞろいで過保護なくらい個々人の教育に精魂打ち込み、学力試験や高校入試では立派な成績をあげ、開校以来1名の非行児も出さなかったそうです。
大和炭鉱の閉山により閉校を余儀なくされた、往年の大和小中学校の隆盛の記憶でした。

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大和小の本校であった稲里小学校も既に閉校していました。
子供の名前が書いてあるので、最後は児童4人だったということでしょうか。
大和の子供たちが通った夕張の登川小学校も、昭和61年に閉校しています。
何もかも、遠い昔のおとぎ話のようになってしまったようです。
  1. 2012/04/22(日) 00:12:23|
  2. 楓・登川
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真冬の登川

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国道274号線を大和方面から走行してくると、小さな道路標識が見えました。
文字の塗料がひび割れていて、かなりの年月が経過していそうです。
この表示の仕方から想像すると30年以上前の看板のような気がします。
矢印の「登川」が、現在はほとんど住人がいなくなった方向を指しているのですから。
いまどうなっているのか、入ってみましょう。
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夕鉄バスの停留所が雪に埋もれてしまいそうです。
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往年の登川2区の中心地に残る個人のお宅です。
このお宅の方が保管していた、登川小学校の校章とプレートを昨年提供していただいたのでした。
その節は大変お世話になりました。
いつまでもお元気で。
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線路下の連絡通路です。
この先は草原と化していますが、昔は住宅があったなごりなのだとわかります。
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ものすごい雪に囲まれて、車1台がやっと通れるほどの狭さです。
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田中商店跡の建物が残っています。
この向かい側に交番があったようですが、とても信じられないです。
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登川の最も奥に残る空き家です。
5年くらい前に、どなたかお住まいだったのを見たような気がします。
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登川駅の跡地は、このように高速道路の業務用出入り口が出来てしまいました。
除雪がここで終わっていて行き止まり、冬場はここが限界です。
以上が町の姿です。
何もかもが変わってしまい、往年の姿を想像することは非常に困難です。
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風雪に当たり、雪に埋まりながらも、町の存在を未来に証明する登川のツインの学校記念碑です。
雪をほろいに近づくことも出来ない、自分の装備が悔やまれます。
スノーシューがあれば・・・
  1. 2012/02/08(水) 04:45:30|
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登川神社跡

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登川神社は、平成3年9月に楓発電所の横に移されるまで、本来は登川2区の山の上にありました。
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後に、グランドの場所が変わった時に横道に沿って石段が曲がりました。

そこに登ってみました。
どのような場所だったのでしょうか。
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石段はなくなっていました。
見た目は、ただの坂という感じですが、なぜか神秘的な雰囲気が漂っています。

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後ろを振り返りました。
高い見晴らしが気持ちがいいです。

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到着しました。
さて、何か残っているのでしょうか。

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ここが人々がお参りした神社だったとは思えない寂しい姿になっていました。
雑木林があるだけで、何も見つけられませんでした。

神社の下には登川会館があったそうです・・・
あれ!登川会館がよみがえっています!
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無理矢理再現してみました。
すいません。
  1. 2011/12/03(土) 02:03:43|
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tomato (旅芸人)

Author:tomato (旅芸人)
旅の友 フォード エコノラインE350

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夕張は人生のふるさと。鹿ノ谷で過ごした楽しかったあの頃を決して忘れません。現在は札幌在住。
往年の夕張を追い求めています。
上の写真は探索専用パジェロミニ。
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カメラ:Nikon COOLPIX P500

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